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シフト制で働く人の基本ルール|厚労省の留意事項(2026年6月改正)を解説

シフト制の基本ルールを5枚のカードで示した画像。勤務日と時刻の明示、シフト変更は双方の合意、休業手当は平均賃金の6割以上、休憩は6時間超で45分・8時間超で1時間、有給は6か月で10日

「来週のシフトがほとんど入っていない」「確定したシフトを急に取り消された」「シフト表に休憩のことが書かれていない」。パートやアルバイトを中心に広がる「シフト制」では、こうした悩みが少なくありません。厚生労働省は、シフト制で働く人の雇用管理について、使用者が守るべき法令と望ましい対応を「留意事項」としてまとめています(2022年1月7日公表、2026年6月19日改正)。この記事では、その内容を働く側の目線で整理します。

この記事の内容

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「シフト制」とは

留意事項では、労働契約を結ぶ時点では労働日や労働時間を確定的に定めず、1週間や1か月などの一定期間ごとに作成される勤務割やシフト表ではじめて具体的な労働日・労働時間が決まる働き方を「シフト制」と呼んでいます。働く日や時間を柔軟に調整できる点は双方にメリットがありますが、使用者の都合で労働日がほとんど設定されなかったり、希望を超える日数が入れられたりして、トラブルになることもあります。

なお、あらかじめ年間や月間の労働日数・労働時間数が決まっていて、就業規則に定められた勤務パターンを組み合わせて働く、従来からの「交替勤務」は、この留意事項の対象に含まれません。

契約のときに必ず示される内容

雇い入れのとき、使用者は「始業及び終業の時刻」や「休日」などの労働条件を、書面(希望すれば電子メールなどでも可)で明示しなければなりません(労働基準法第15条)。シフト制でも同じです。

  • 始業・終業の時刻:すでに時刻が確定している日は、その時刻を示す必要があります。労働条件通知書に「シフトによる」とだけ書くのでは足りず、労働日ごとの始業・終業時刻を書くか、原則となる時刻を書いたうえで、契約と同時に決まっている期間分のシフト表をあわせて渡すなどの対応が必要です。
  • 休日:休日が決まっているなら明示します。曜日が決まっていない場合は、休日をどう設定するかの基本的な考え方を示す必要があります。労働基準法では、毎週少なくとも1回、または4週間を通じて4日以上の休日を与えることが求められています(第35条)。

常時10人以上の労働者を使用する会社は、就業規則を作成して労働基準監督署に届け出なければなりません。シフト制の労働者について「個別の労働契約による」「シフトによる」とだけ書いた就業規則では不十分で、基本となる始業・終業時刻や休日を定めたうえで、具体的にはシフトによる旨を書く必要があります。

シフトの作成と変更のルール

留意事項は、シフト制の場合でも使用者が一方的にシフトを決めることは望ましくないとして、シフトの決め方について使用者と労働者が話し合って、あらかじめルールを決めておくことを勧めています。

作成のルール(例)

  • シフト表を作るとき、事前に労働者の意見を聞くこと
  • 確定したシフト表を労働者に知らせる期限と方法

変更のルール(例)

いったん確定したシフトの労働日や労働時間を変えることは、労働条件の変更にあたります。労働契約法第8条は、労働者と使用者が合意によって労働条件を変更できると定めています。そのため、確定した労働日や労働時間の変更は、双方が合意したうえで行うようにとされています。変更をスムーズにするために、次のような期限や手続を決めておくことが考えられます。

  • シフトの期間が始まる前に、確定したシフトの変更を使用者または労働者が申し出る場合の期限と手続
  • シフトの期間が始まったあとに、使用者または労働者の都合でシフトを変更する場合の期限と手続

「どのくらい働くか」の目安も決めておく

シフトで労働日や時間を決める場合でも、基本的な考え方を労働契約で決めておくことが望ましいとされています。たとえば、次のようなものです。

  • 一定の期間に働く可能性がある最大の日数・時間数・時間帯(例:「毎週月・水・金曜日から勤務する日をシフトで指定する」)
  • 目安となる労働日数・労働時間数(例:「1か月◯日程度」「1週間あたり平均◯時間」)
  • 最低限働く日数・時間数(例:「1か月◯日以上」「少なくとも毎週月曜日はシフトに入る」)

こうした合意の内容は、できる限り書面で確認しておくことが望ましいとされています。

シフトを取り消されたら:休業手当

使用者の責めに帰すべき事由で労働者を休業させた場合、使用者は休業期間中、平均賃金の6割以上の休業手当を支払わなければなりません(労働基準法第26条)。シフト制の労働者も同じです。

  • 「使用者の責に帰すべき事由」は、使用者の故意や過失に限られず、使用者側に原因がある経営上・管理上の障害なども含まれます。
  • 天災などの不可抗力による場合は対象外ですが、①原因が事業の外部で発生した事故であること、②事業主が通常の経営者としての最大限の注意を尽くしても避けられない事故であること、の両方を満たす必要があります。②を満たすには、在宅勤務で働いてもらうことや、ほかの業務につかせることを十分に検討するなど、休業を避けるための具体的な努力が求められます。

休業手当が支払われるかどうかは、実際の事情によって判断されます。「シフトが以前より少なくなった」「シフトを一方的に減らされた」といった場合は、まず記録を残して、後述の相談窓口に相談するのが近道です。

労働時間・休憩・休日

項目ルール根拠
労働時間1日8時間・1週40時間以内(法定労働時間)労働基準法第32条
時間外・休日労働法定労働時間を超える、または法定休日に働かせる場合は、労使協定(36協定)を結んで労働基準監督署に届け出る必要がある労働基準法第36条
休憩6時間を超えるときは少なくとも45分、8時間を超えるときは少なくとも1時間を、労働時間の途中に与える労働基準法第34条
休日毎週少なくとも1回、または4週間を通じて4日以上労働基準法第35条

休憩時間は、労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間です。作業をしていなくても、いつ仕事の指示があるかわからない状態で待機している「手待時間」や、来客対応などで実際に働いた時間は、休憩時間にはなりません。また、休憩は必ずしも連続して与える必要はありません。

1か月単位の変形労働時間制を導入する場合は、シフト表を作る前に、労働日や各日の始業・終業時刻の考え方などを就業規則などで具体的に定めておく必要があります。

年次有給休暇

シフト制の労働者でも、雇い入れの日から6か月継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤したときは、年次有給休暇が付与されます(労働基準法第39条)。契約期間が6か月未満でも、契約が更新されて6か月以上になっていれば、この要件を満たします。

継続勤務年数付与日数
6か月10日
1年6か月11日
2年6か月12日
3年6か月14日
4年6か月16日
5年6か月18日
6年6か月以上20日

週の所定労働日数が4日以下(または年216日以下)で、週の所定労働時間が30時間未満の場合は、所定労働日数に応じて付与日数が少なくなります。

  • 年次有給休暇は、原則として労働者が請求する時季に与えなければなりません。休暇を取った日は、あらかじめ就業規則などで決めた賃金(たとえば所定労働時間分の通常の賃金)が支払われます。
  • 付与日数が10日以上の労働者には、そのうち5日について、基準日から1年以内に使用者が時季を定めて取得させる義務があります(労働基準法第39条第7項)。
  • 所定労働日数があらかじめ決まっていないことを理由に、年次有給休暇を与えないことは認められません。

雇用保険・社会保険

シフト制でも、条件を満たせば保険に加入します。シフトの回数が減った場合にも関わる内容です。

  • 労災保険:労働者を使用する事業は適用事業となり、シフト制の労働者も給付の対象です。
  • 雇用保険:1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上引き続き雇用される見込みがある場合に被保険者となります。なお、この1週間の所定労働時間は、2028年(令和10年)10月1日から10時間以上に変更されます。シフトの減少で一時的に20時間を下回っても、すぐに被保険者でなくなるわけではありません。
  • 健康保険・厚生年金保険:同じ事業所の正社員の4分の3以上の労働時間・日数で働く人のほか、4分の3未満でも、週の所定労働時間が20時間以上、月額賃金が8.8万円以上、学生でない、従業員51人以上の企業(または50人以下で労使合意のある企業)で働いている、という要件をすべて満たす人は加入します。

具体的な就労日数が労働条件として明示されているのにシフトを減らされた場合や、契約更新のときにシフトを減らす条件を示されて更新を希望せずに離職した場合は、雇用保険の基本手当で「特定理由離職者」などと認められ、給付制限を受けないなど有利になることがあります。

困ったときの相談先

シフトについてトラブルを防ぎたいとき、あるいはトラブルが起きたとき(例:「シフトが以前より少なくなった」「シフトを一方的に減らされた・増やされた」)の解決方法のひとつに、個別労働紛争解決制度があります。まずは、最寄りの都道府県労働局や、各労働基準監督署内などに設置されている総合労働相談コーナーに相談してください。

自分のシフトを記録しておく

シフトの変更や取り消しが起きたとき、「最初に決まっていたシフト」と「実際に働いたシフト」の記録があると、状況を落ち着いて説明できます。

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出典:厚生労働省「いわゆる「シフト制」により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」(令和4年1月7日、令和8年6月19日改正)

この記事は上記の留意事項をもとにした一般的な情報であり、個別の事案についての法的な助言ではありません。休業手当の対象になるかどうか、保険の加入条件、就業規則の内容は、実際の契約や事情によって異なります。迷ったときは、勤務先の就業規則や労働条件通知書を確認し、総合労働相談コーナーや社会保険労務士などの専門家に相談してください。

よくある質問

シフト制でも休業手当はもらえますか?

シフト制の労働者でも、使用者の責めに帰すべき事由で休業させた場合は、平均賃金の6割以上の休業手当の支払いが必要です(労働基準法第26条)。天災などの不可抗力による場合は対象外で、実際の事情によって判断されます。

確定したシフトを会社の都合で変更されました。受け入れなければなりませんか?

確定したシフトの労働日や労働時間を変えることは労働条件の変更にあたり、労働契約法第8条に基づき、使用者と労働者の双方が合意したうえで行うようにとされています。変更の期限や手続は、あらかじめ話し合って決めておくことが望ましいとされています。迷ったときは総合労働相談コーナーに相談してください。

シフト制でも年次有給休暇はありますか?

あります。雇い入れの日から6か月継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤すれば、原則として10日の年次有給休暇が付与されます。週の所定労働日数が少ない場合は、所定労働日数に応じた日数になります。

シフト制の休憩は何分もらえますか?

労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を、労働時間の途中に与える必要があります(労働基準法第34条)。いつ仕事を頼まれるかわからない状態の待機時間(手待時間)は、休憩時間にはなりません。