「遅番の翌日が早番で、ほとんど寝る時間がない」「夜勤が明けたのに、すぐ次のシフトが入っている」。シフト制で働いていると、勤務と勤務の間が短くなる場面があります。こうした勤務の間の休息を確保する仕組みが勤務間インターバル制度です。ただし、これは法律上、事業主の努力義務であり、「必ず11時間あける」といった決まりがあるわけではありません。この記事では、法律の条文と厚生労働省の資料、最新の調査結果をもとに、何が決まっていて何が決まっていないのかを整理します。
この記事の内容
- 1. 勤務間インターバル制度とは
- 2. 法律上の位置づけ:努力義務であって義務ではない
- 3. どのくらいの会社が導入しているか
- 4. シフトでの具体例(架空の数字)
- 5. 翌日の始業をずらすとき、時間と給料はどうなる?
- 6. 自分の職場で確認すること
- 7. 勤務の間隔を自分でも記録しておく
勤務間インターバル制度とは
厚生労働省は、勤務間インターバル制度を、前日の終業時刻から翌日の始業時刻までの間に一定時間以上の休息(インターバル時間)を確保する仕組みと説明しています。生活時間や睡眠時間を確保するための制度とされています。
厚生労働省の導入・運用マニュアル(令和2年3月)では、このインターバル時間には、睡眠時間や生活時間のほか、通勤時間なども含まれると整理されています。確保の方法としては、たとえば次のようなものが紹介されています。
- 遅くまで働いた翌日は、始業時刻を後ろにずらす。
- ある時刻以降の残業を禁止し、次の始業時刻より前の勤務を認めない。
法律上の位置づけ:努力義務であって義務ではない
勤務間インターバルは、労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(労働時間等設定改善法)に定められています。第2条第1項は、事業主は、労働時間等の設定の改善を図るため、「健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定」などの必要な措置を講ずるように努めなければならない、としています。2018年6月に成立した働き方改革関連法による改正で位置づけられ、2019年4月1日に施行されました。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 法律(努力義務) | 終業から始業までの時間の設定に努める(労働時間等設定改善法第2条第1項)。具体的な時間数(11時間など)は法律には書かれていません |
| 厚労省の資料 | 導入・運用マニュアルなどで、制度の考え方や導入例を紹介しています。法律ではありません |
| 就業規則・労使協定 | 会社が制度を導入していれば、そこで間隔の時間数や運用が決まります |
「必ず○時間あけなければならない」という決まりがあるかどうかは、会社の制度によって異なります。
つまり、勤務間インターバルがあるかどうかは、法律そのものよりも、勤務先が制度を導入しているか、就業規則などにどう書かれているかで決まります。なお、このほかの勤務の上限や休憩、休日については、労働基準法などの別のルールがあります(たとえば、休憩は労働基準法第34条です)。
どのくらいの会社が導入しているか
厚生労働省の「令和7(2025)年就労条件総合調査」(令和7年12月19日公表、調査時点は令和7年1月1日)によると、勤務間インターバル制度の導入状況は次のとおりです。対象は、常用労働者30人以上の民営企業です。
| 導入状況 | 令和7年 | 令和6年 |
|---|---|---|
| 導入している | 6.9% | 5.7% |
| 導入を予定又は検討している | 13.8% | 15.6% |
| 導入予定はなく、検討もしていない | 78.7% | 78.5% |
出典:厚生労働省「令和7(2025)年就労条件総合調査の概況」第12表。
- 導入している企業のうち、定められている間隔は、1企業あたりの平均で10時間51分でした(各企業で複数ある場合は最も短い間隔の平均)。
- 企業の規模別にみると、1,000人以上では20.1%、30〜99人では6.1%と、規模によって差があります。
- 導入予定がなく、検討もしていない企業の理由で最も多かったのは、「超過勤務の機会が少なく、当該制度を導入する必要性を感じないため」(57.3%)です。
この数字からは、まだ多くの職場には制度がないことがわかります。制度がないことは違法という意味ではなく、あくまで努力義務の範囲にとどまっています。
シフトでの具体例(架空の数字)
以下は、考え方を理解するための架空の例です。実際の運用は、勤務先の制度によって異なります。
| 項目 | 時刻・時間 |
|---|---|
| 1日目:遅番の終業 | 23:00 |
| 2日目:早番の始業(予定) | 7:00 |
| 勤務の間隔 | 8時間 |
| 間隔を11時間とする制度がある場合の最も早い始業 | 10:00 |
架空の例です。通勤時間は間隔に含めて考える整理が一般的ですが、実際の扱いは制度の内容によります。
遅番の翌日に早番が入ると、間隔は8時間になります。もし勤務先に「インターバルは11時間」という制度があれば、翌日の始業は10時以降になります。制度がなければ、この早番は法律上は直ちに問題とはならない一方で、体への負担が大きいことには変わりがありません。シフトを組む段階で、遅番と早番が連続する並びを減らせるかどうかが、現場では大切になります。
翌日の始業をずらすとき、時間と給料はどうなる?
間隔を確保するために翌日の始業が遅くなったとき、その時間の扱いについて、厚生労働省のマニュアルは次の2つの方法を紹介しています。
- 働いたものとみなす:本来の始業時刻から、実際に始業した時刻までを働いたものとみなす方法。マニュアルが把握した事例では、みなした時間について賃金を控除している例はなかったとされています。
- 始業時刻を繰り下げる:翌日の始業時刻を後ろにずらす方法。この場合、終業時刻も遅らせるのか、そのままにするのかを、あらかじめ決めておく必要があります。
どちらを採るかは会社ごとに異なり、法律で決まっているわけではありません。繰り下げた時間の賃金がどうなるかは、就業規則や賃金規程で確認する必要があります。
自分の職場で確認すること
- 制度があるか:就業規則や社内規程に、勤務間インターバル(終業から始業までの間隔)の定めがあるかを確認します。
- 間隔の時間数:何時間あけるのか、例外(災害対応など)があるのかを確認します。
- 始業をずらしたときの扱い:働いたものとみなされるのか、繰り下げ分の賃金はどうなるのかを確認します。
- 相談先:制度がない場合でも、シフトの並びについて職場で相談することは可能です。解決しないときや契約の内容に不安があるときは、都道府県労働局などにある総合労働相談コーナーに相談できます。
勤務の間隔を自分でも記録しておく
勤務の間隔が短くなっていないかは、シフト表を1日ずつ見ているだけでは気づきにくいものです。カレンダーで、遅番の終了と翌日の早番の開始が並んでいる日を一覧しておくと、職場で相談するときにも状況を具体的に伝えられます。
Shift2Calは、シフト表の写真やスクリーンショット、PDF、CSVをAIで読み取り、カレンダーに登録できるアプリです。登録前にプレビューで内容を確認・修正でき、Apple カレンダー、Google カレンダー、Outlookと同期できます。毎週決まったパターンのシフトは、繰り返し設定でまとめて登録できます。読み取りは端末上で行うため、職場から受け取った資料も安心して扱えます。なお、勤務間隔が足りているかどうかの判定や、法律上の確認はアプリでは行いません。
関連記事:シフト制で働く人の基本ルール|厚労省の留意事項(2026年6月改正)を解説
出典:
e-Gov法令検索「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」(第2条)
厚生労働省「勤務間インターバル制度 導入・運用マニュアル」(令和2年3月)
厚生労働省「令和7(2025)年就労条件総合調査の概況」(令和7年12月19日)
この記事は上記の資料をもとにした一般的な情報であり、個別の事案についての法的な助言ではありません。勤務間インターバルの有無や間隔、始業をずらしたときの賃金の扱いは、勤務先の就業規則や契約によって異なります。迷ったときは、就業規則や労働条件通知書を確認し、総合労働相談コーナーや社会保険労務士などの専門家に相談してください。
よくある質問
勤務間インターバルは法律で義務づけられていますか?
義務ではなく努力義務です。労働時間等設定改善法第2条第1項は、事業主は「健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定」などの措置を講ずるように努めなければならないとしています。11時間などの具体的な時間数は法律には定められていません。
勤務間インターバル制度を導入している企業はどのくらいですか?
厚生労働省の令和7(2025)年就労条件総合調査(令和7年1月1日現在)では、導入している企業は6.9%(令和6年調査は5.7%)、導入を予定又は検討している企業は13.8%、導入予定はなく検討もしていない企業は78.7%でした。
インターバルを確保するために翌日の始業が遅くなったら、その時間は働いたことになりますか?
厚生労働省のマニュアルでは、始業時刻から実際の始業までを働いたものとみなす方法と、翌日の始業時刻を繰り下げる方法が紹介されています。どちらを採るかは会社ごとに異なるため、就業規則や賃金規程で確認してください。
自分の職場に勤務間インターバルがあるかどうかは、どこで確認できますか?
就業規則や社内規程で、終業から始業までの間隔の定めがあるかを確認します。わからないときや解決しないときは、都道府県労働局などにある総合労働相談コーナーや、社会保険労務士に相談できます。